19歳の短大生入江駒子はふと手に取った『ななつのこ』という本の作者にファンレターを出そうと思い立つ。
身の周りに起きた少し不思議な事件のことも綴って。
もらえるとは思っていなかった返事にはその事件について『ななつのこ』作者・佐伯綾乃が想像を巡らせた解決編が綴られていた…。
- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1999/08/19
- メディア: 文庫
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駒子が日々の些細な不思議を手紙に書き綾乃が解決編を返事するという文通形式で進む安楽椅子探偵・連作推理短編集、といえばもう大好物なわけです。
日常の些細な謎に秘められた意外な真相、といっても残酷な結末などなく、どれも読後感心温まるものばかり。
駒子も19歳にしてかなりしっかりしたお嬢さん(他人に対する態度や言葉遣いで窺われる)で好感度高いです。
あー素晴らしい。見つけることができてよかったよ。
ふふふ、”駒子”シリーズはまだあと二作出ているのだ、これまた幸せなことですよ。
なかでも六篇目、『白いタンポポ』がよかったです。
駒子はボランディアとして参加したサマーキャンプで他人に心を閉ざしがちな少女・真雪と出会う。
担任の先生によれば彼女は教材のプリントである花の塗り絵、チューリップや水仙などどの花も白で塗りつぶしてしまうのだ、黄色いはずのタンポポまで。
複雑な環境に育った真雪、情緒が欠けているのではないだろうか?
読んでみてくださいな。