ボタンといえば

(どっかで書いたような気がするが)

これまた星新一さんの作品で
(某掲示板からのあらすじ転載)ネタバレ有り

ある博士が鳴り物入りで、ある特別な機械を街頭に設置した。
郵便ポストほどの大きさで、真ん中に大きなボタンと、脇から1本のロボットアーム。
好奇心に駆られた人がボタンを押すと、アームが伸びてボタンを元に戻す。
それだけの機械。でもなんとなく、見かけるとそれを押してしまう。
やがて最終戦争が起きて、人類は滅びた。頑丈に作られていた機械は
壊れもせず、ボタンが押されるのをただ待っていた。
そして1000年間ボタンが押されなかったことを確認したその機械は、
初めて本来の動作を始めた。それは、人類に向けた鎮魂歌を流すことだった。

この作品では人類の生存判定として”人はボタンを見ると押さずにはいられない”(ボタンが押されなくなった=人類は衰退滅亡しました)本能を利用しているんだけど一度風に飛ばされた枝かなんかが偶然ボタンに当たって動作している。
人類が滅亡してから1000年後にレクイエムを流すのが目的の機械だが999年後に枝が当たったならそのカウントはリセットされちゃうわけで、正確には人類滅亡から何年後にレクイエムが流れたのかはわからない。
まぁ、聴く人類はいないわけだから何年後に流れようが関係ないんだけど。
これだけ精密・信頼性にこだわった機械(最終戦争な状況下でも破壊されず1000年後に確実に動作する、ということでかなりな予算を注ぎ込んだ、と説明されている)なのにこういう誤動作を容認するかねぇ、とちょっと不思議に思った。
荒涼とした大地にぽつんとたつ機械が見るものもいないのに動作する、という絵は素敵だからこの描写はあったほうがいいんだけど。

妖精配給会社 (新潮文庫)

妖精配給会社 (新潮文庫)

所収の『ひとつの装置』。